大津町屋の宿「粋世」はゲストハウスとは言っても、朝食が出される。これは有り難い。ゲストハウスなので座敷の大広間でいただく。微かに聞こえるBGMが朝の静謐な空間に流れていて、気持ちの良い一日の始まりを体感できる。
バイクでツーリングしていると、一日はあっという間に過ぎてゆくのが分かる。これは非常に多くの情報を体に取り込んでいる証拠かと思う。ツーリングでは人間の五感をフルに活動させることができる。目に美しい景色を焼き付け、鼻で草花や土、季節の匂いを感じ、口で各地の美味しいものをいただき、耳で野生の声を聞き、肌で風や温度の変化を感じる。またバイクは気を抜けば身に危険を及ぼす乗り物だから、そういった意味でも常に五感を働かせていなくてはならない。ついでに言うと、平衡感覚も養われるだろう。
このように、動物本来の外界を感知する能力をバイクツーリングは強くしてくれるのだ。ツーリングも4日目に入り、感覚が研ぎ澄まされてきたのを実感する。特に粋世で出されるような美味しい朝食をいただくと、自然と人間として日本人として生き生きとしてくるのだ。
今日からは関東方面に東に向かう。午前は比叡山延暦寺を訪問した。
根本中堂は10年に及ぶ大規模改修工事に入っていて、完全に囲われていた。標高800mを超えるとあって琵琶湖も眼下に見渡せる。
琵琶湖東岸のさざなみ街道は快晴ということもあって、非常に気持ちの良い道だった。
彦根から名神高速に乗る。名古屋圏を一気に通過し、長久手から猿投グリーンロードへ。今晩は岐阜県に戻り恵那でキャンプする。恵那と言ってもかなり愛知県寄りの、「くしはら温泉ささゆりの湯キャンプ場」だ。かなり山深いところにあるが、このキャンプ場周辺だけは開けている。
周辺にスーパーはなし。キャンプ場受付の「マレットハウス」も定休日で薪も何も買えず。キャンプ場併設の「ささゆりの湯」も定休日(この日は水曜日)。仕方なく20km離れた道の駅「どんぐりの里いなぶ」へ向かった。この道の駅「どんぐりの里いなぶ」は有り難いことに温泉併設だ。日が暮れてきたのでそそくさと温泉に浸かり、道の駅で野菜を買った後近くのファミリーマートで飲み物関係などを買い、足早にキャンプ場へ向かった。日が暮れ出したら早い。戻る途中で辺りは真っ暗になった。街灯が全くない峠道を何とかキャンプ場まで戻った。ほっとする。
薪がないのでその辺の小枝を集めて、残りの炭をおこして暖をとった。
翌朝。この日も快晴。平日にしてはそこそこ張られている方だと思う。人気があるキャンプ場ということだろう。
この「くしはら温泉ささゆりの湯キャンプ場」はとても整備されており、温泉も併設でこっち方面に来たらまた利用したいキャンプ場だ。別記事でまとめたいと思う。
ここを最後に、4日ぶりに自宅へ戻る。
今年の晩秋ツーリングは仕事を気にしなくて良いという、恵まれた?状態の中、4泊5日かけ中部・北陸を周ってきた。雨にも打たれたが概ね快晴の天気の中、蓼科、木曽、立山、五箇山、越前、敦賀、琵琶湖、恵那、阿智と巡り、各地の食、人、紅葉、自然に触れた。蓼科と木曽、阿智は紅葉が抜群に綺麗だった。立山は人が良かった。五箇山は日本昔話に出てきそうな独特の雰囲気があって良かった。越前は荒々しさ、琵琶湖は湖と太陽きらめきが良かった。それぞれにそれぞれの良さがあって、また行きたいなと思うところもあったので、今度はそこにじっくりと滞在して良さを再確認したい。
人生、ツーリングに行かないなんて、もったいなさすぎる。
定年後になんて遅すぎる。行きたいと思ったら、今から準備を始めた方がいいですよ。
Yasu
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