東京の過酷な夏
あっという間に今年も半分が過ぎ、学生たちはすっかり夏休みを満喫している。東京はジメジメと暑い日が続く。
今年も東京の夏がやってきた。私は特に汗かきなので、東京で過ごす上では1年で最も過酷な季節だ。
サラリーマンは大体が"通勤"しなければならない。私も片道1時間の電車通勤組だが、夏ほどそれを億劫に感じる季節はない。
しかし私の場合、長いサラリーマン生活で電車通勤には慣れているとはいえ、夏という要素を外したとしても人混みが苦手なのは変わらない。
東京の人の多さ
首都圏は今、完全にキャパオーバーであると私は思っている。通勤ラッシュ時の駅のホームを経験すれば、誰でも感じることができるだろう。
3.11を思い出して欲しい。首都圏の交通は麻痺し、多くの人が駅に入れず、路上に溢れかえった。
しかし、あれから7年がたった今も首都圏の人口は増え続けている。なぜこれほど東京に人が集まってしまうのか、私は不思議でならない。
人口増加率マップ1990-2015年|埼玉大学教育学部 谷謙二研究室|Map of Population Growth Rate in Japan 1990-2015
移住先人気ランキングでいつも上位の長野県と東京都を比べてみた。
ちなみに、ふるさと回帰支援センターが発表している長野県のここ3年間の移住ランキングの推移は、
- 2016年 2位
- 2017年 1位
- 2018年 1位
となっている。
<東京都と長野県の人口推移・増減比較>
なんと東京都の人口は2008年から2017年の間毎年増え続け、9年間で106万人の増加。しかもこの増加分はほぼ区部への流入であり、まさに一極集中の様相だ。これに対して同じ関東地方の長野県は、市部ではほぼ横ばいだが県全体では毎年1万人以上減り続けている。
人気移住先でさえこの有様だ。もっとも、人気というだけで実際移住しているかどうかはわからないが。
[都道府県データランキング(https://uub.jp/pdr/) より]この先はどうなってしまうのだろう。2016年と比べて2017年人口増加している都道府県は、東京、神奈川、愛知、埼玉、千葉、福岡、沖縄の7都県のみ。しかも増加数1位の東京は前年比+10万人に対して、2位の埼玉は前年比+2万人に留まっている。圧倒的な差だ。日本の人口はピークを打ち減少傾向に転じているが、東京都の人口がこのまま増え続けるのであれば、過疎地域はますます増え続けていくだろう。
東京に人口が集中する原因はやはり仕事だろうか。そうだとすると地方にはそんなに仕事がないのか。東京でたくさん稼ぎ良い生活がしたいのかもしれない。しかし、東京は仕事があり給料が高くても、住居費や食費などの生活コストが高い。つまり収入が多くても、支出も多くなりがちだ。これでは疲れるだけではないだろうか。残業時間の多さなど、過酷な労働実態も社会問題化している。
高知に移住し、ブログ等の執筆で生活しているイケダハヤト氏によれば、地方には仕事がたくさんあると言う。東京に比べ、生活コストはもちろん断然安い。万一仕事を失ったとしても、田舎ならば自給自足する手段があるので、リスクも圧倒的に少ない。つまり自分がやりたいことを実現するということにおいて、挑戦しやすい環境ということだ。
私の場合バイクが大好きなので、今の何倍もツーリングしたいし、自分の年齢を考えれば、これからは若いライダーたちにも何か役立つことをしたいと思っている。
バイクとの理想的な生活を求めて
信州はとても良いところだ。大好きな地域である。八ヶ岳、蓼科、清里、美ヶ原、浅間、諏訪。風光明媚な景色が凝縮されている、ライダー憧れの地である。ビーナスラインは何度走ったことか。
埼玉に生まれ育ち現在も埼玉に住んでいる私は、幸運なことに信州までは2時間程度のライディングでたどり着くことができる。しかし、サラリーマンであるがゆえに、ツーリングに割ける時間はたまの土日祝日のみ。連泊のキャンプツーリングなどをしようと思ったら、有給休暇を取る必要がある。休日出勤も断りづらい。ツーリングライダーにとって、非常に自由が利かない環境と言える。
人口密集地域から休日に遠出するとなると、朝夕の渋滞を考慮しなければならない。大型連休ともなると高速道路の渋滞は40km以上に及ぶこともある。もちろんそのような渋滞にはまってしまったら二輪の特権を使うことになるのだが、荷物満載のタンデムライディングではかなりの神経を使うことになる。体が疲れているときは無理はしない。その代わり大幅な時間的ロスになる。渋滞を避けようとすると、朝は夜が明ける前に出発することになるが、睡眠不足にも繋がり、体が資本であるライダーにはあまり良くないだろう。
いっそのこと、拠点を信州に移してしまったらどうか。
…朝は日の出とともに起床。
外に出て信州の美味しい空気を吸って深呼吸。連なる山々の向こうから射してくる日の光を浴びながら、1日の始まりを感じる。
今日は雲一つない快晴である。
こんな気持ちの良い日には陽射しの良い午前中のうちにひとっ走りしたくなる。
朝食を済ませ、淹れたてのコーヒーをすすりながら大まかなルートを頭の中に描く。
白樺湖までは30km程度。今日は平日なので、首都圏ライダーもいないし道はガラガラだ。水冷のGSはセルボタン一発で気持ちよく目覚めた。エンジンと自分の体を慣らしながらゆっくりと発進。信州の風景と空気、そしてBMW ボクサーツインエンジンのハーモニーを堪能しながらあっという間に30分で到着した。
キラキラと輝く水面をたたえた白樺湖。晩秋の真っ赤に染まった八ヶ岳を背景に眺めながら、あったかい缶コーヒーをすすり、冷えた体を温める。
または夜明け前に出発して美ヶ原に向かい、日の出とともに雲海を眺めるのも最高だ。
…考えただけでもワクワクしてしまう。最高の環境だ。ここには人混みも渋滞もイライラも、ない。
あるのは草花や土の匂いがする新鮮な空気と美しい自然だ。
安くて美味しい食材と人々の笑顔だ。
心踊るワインディングとそれを共有するバイク仲間たちだ。
何かに縛られることはない、伸び伸びと生活できる環境。
そう、これこそが私が求めていた理想的な生活なのだ。
Yasu
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